06/11/29(水) 23:04
麦の穂をゆらす風
ストーリー・
1920年。長きにわたりイギリスの支配を受けてきたアイルランドでは、疲弊した人々の間に独立の気運が高まっていた。そんな中、南部の町コークでは、医師を志していた青年デミアンが、ついにその道を捨て、兄テディと共に武器を取り、アイルランド独立を目指す戦いに身を投じる決心をする。そして、イギリス軍との激しい戦いの末に、イギリスとアイルランド両国の間で講和条約が締結された。しかし、完全な独立からは程遠い内容に、条約への評価を巡ってアイルランド人同士の間に賛成派と反対派の対立が生まれ、ついには内戦へと発展してしまう。そして、デミアンも兄テディと敵味方に分かれて戦うことになるのだった…。
感想・
―本年度カンヌ映画祭パルムドールのローチ新作は終わりの無い醜い争い―
アイルランド独立闘争って個人的には殆ど知識が無く、アラン・J・パクラの『デビル』でその後の深いテロリズムの溝が描かれていたくらいで正直歴史背景だとかはイマイチ分かっていない。そんな状態で本作を見たのがいけなかったのか、アイルランド人とイギリス人の争いの焦点が見えてこなかった。
一体彼らは何に突き動かされて殺し合いをするのか全然見えてこない。しかし民族間の争いという点から考えると納得がいく。それは勿論今日ならではだ。
なぜ彼らは殺し合いをするのか、そんな根本的な問題を考えて双方が理解しあう。それこそが平和への第一歩なのだが本作はそこを通り過ぎて本作が語るのは報復が産むものは報復というスピルバーグの近作『ミュンヘン』のような教訓臭くないメッセージだ。ここが正にケン・ローチらしいアプローチ。本作はすこしアイルランドよりすぎる演出かもしれない。それでもドラマを際立たせてストーリーに没頭させるためには一方的視線も不可欠だったのかもしれない。
人を殺す理由がしだいに分からなくなってくる。なぜ自分は人を殺してまで自由を手にするのか。でも戦争ってこんなものだ、と突っ放し冷徹にアイルランドの人々を描いたローチの演出こそさらに争う事の醜さを際立たせている。
【画像はアメリカ版ポスター】
カテゴリ:映画感想文
| マリー・アントワネット ≪ 06/11/29(水) 20:24 | ≫ PS3やipod+Nike買っても尚、映画三昧な近頃 06/11/29(水) 23:14 |