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06/11/29(水) 20:11

父親たちの星条旗

父親たちの星条旗 ☆☆☆☆

ストーリー・
太平洋戦争末期、硫黄島に上陸したアメリカ軍は日本軍の予想以上の抵抗に苦しめられ、戦闘は長引き、いたずらに死傷者を増やす事態に陥っていた。そんな中、擂鉢山の頂上に星条旗が高らかに翻る。この瞬間を捉えた1枚の写真が銃後のアメリカ国民を熱狂させた。星条旗を掲げる6名の兵士、マイク、フランクリン、ハンク、レイニー、アイラ、ドクは一躍アメリカの英雄となるのだった。しかし、その後祖国に帰還したのはドク、アイラ、レイニーの3人だけだった。国民的英雄として熱狂的に迎えられた彼らは、戦費を調達するための戦時国債キャンペーンに駆り出され、アメリカ各地を回るのだったが…。

感想・
―一枚の写真が教えてくれる人間の素晴らしさ、愚かさ―
アメリカの教科書は勿論のこと日本の世界史にも資料として記載されている有名な星条旗を掲げる一つの写真。たった1枚の写真(絵)から戦争が生み出す色々なものが見えてくる。
『プライベート・ライアン』のような戦争の真っ只中を描いた戦争映画とはまた違ったアプローチで第二次世界大戦を見つめたイーストウッド。形式としては星条旗を掲げた人物の息子が遠い日の父を探して関わった人々にインタビューしているというもの。殆どは回想でどこか過去のイーストウッド作『マディソン郡の橋』を彷彿させられる。

アメリカ軍が硫黄島に上陸する前の悲壮感、戦争の痛々しい現実、ここまでは最近のハリウッド戦争映画のお得意とするところだが本作が違ったアプローチに挑んだのはここからの話。
痛々しい現実が華々しい英雄談へと変化し人々にさらに戦意向上を促す、これを国債キャンペーンの一環として借り出される主人公達。戦争を英雄談に美化するのはメディアの危うさだし、これに国が関わっているのが恐ろしい。プロパガンダという言葉がピッタリと当てはまるところを描き戦争を炙り出す。ストレートに戦争はいけません!戦争反対!と訴えるよりもジワジワと主人公達が病んでいく姿を見ている方がよっぽど戦争を蔑視できるではないか。実はアメリカ映画では古くはこの手の戦争反対映画が多かったが大きな違いとして戦争における人間の負と正をキチンと描いているところだろう。戦争に殺人者は存在せず、人を殺した方が英雄とみなされる世界を生きた人間が旗を立てただけで英雄と祭り上げられる。友人が目の前で殺され、自分も人間の首を掻っ切っておいて豪華な料理を食べて皆にチヤホヤされる。常識のある人間なら誰もが気が狂いそうなほど矛盾した世の中である。こんな戦争の矛盾をイーストウッドはつぶさに見つめ決して正義や悪を描かない。描かれるのは懸命に生きた若者の苦悩だ。時には戦争を蔑視し、時には人を殺しておいてちやほやされる快感に酔う・・。
一つの写真から広げられたストーリーの巧さはさすがに昨年の『クラッシュ』を手がけた脚本家ポール・ハギスならではだ。戦争でも生まれてくる常に多国籍国アメリカが持つ人種偏見もハギスらしい味付けだ。
後半からは一気にこの戦争とは一体なんだったのか、と見つめなおし哀愁漂うメロディをつむぐのは正にイーストウッド節炸裂。『ミリオンダラー・ベイビー』のように最高潮の高揚だけで終わらず物語がそこから省みる後半がとても丁寧だ。イーストウッドに応える俳優陣もキャリア中ベストの演技を披露し、ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォードらアイドル映画で育ったスターも映画のカラーに合わせて自分をコントロールさせ、アダム・ビーチも『ウィンドトーカーズ』のナバホ族以上にアメリカの人種差別をやりきれない演技で体現してみせている。

【画像はアメリカ版ポスター】

カテゴリ:映画感想文
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コメント[4]
Wade 06/11/29(水) 20:12
俺、この本ならみたぜ^3^
aki 06/11/29(水) 20:13
今度見てみたいものです。

着眼しました。
まかろに 06/11/29(水) 21:42
今、観ようか迷っている作品。
ジム 06/12/10() 23:08
>衛生兵さん
原作も読みたくなりますね〜

>akiさん
出来は良いです。
のりに乗ってるポールハギス脚本だもん。

>まかろにさん
硫黄島見るならこれも見たほうがいいですよ。

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