06/11/29(水) 19:54
もしも昨日が選べたら
ストーリー・
建築士のマイケル・ニューマンは、美しい妻ドナと2人のかわいい子どもたちのためにと懸命に働く日々。いつしかそれは、仕事優先で大切な家族を顧みない生活となっていった。そんな時間に追われてばかりのマイケルは、煩わしいリモコン操作に嫌気がさし、どんな電化製品も一台で操れる“万能リモコン”を求めて街に出る。そして、怪しげな従業員モーティから、人生さえも早送りや巻き戻しできる不思議なリモコンを手に入れる。妻との口論を早送りしたり、犬の吠え声を小さくしたりと、人生を思い通りに操作し始めるマイケルだったが…。
感想・
―安易だが下ネタと真面目さのバランスが良い―
アメリカンコメディにも色々なジャンルがあるが中でもファンタジックを感じられるWhat if?というジャンルが存在する。ずばり『もしも…』を描いた人生変換型のコメディだが古くは『素晴らしき哉、人生!』から主人公が大人へと変化する『ビッグ』、神の力を得る『ブルース・オールマイティ』、『天使のくれた時間』など設定をちょこっと変えたような映画が多々あり、その全ての作品の根底に流れるテーマが【家族】又は【良心】を描いたものだ。
本作も筋的にはずばりWhat if?コメディ、怠惰な主人公が不思議な出来事を通じて今までの人生を悔い改める…もっとも安易に作れてアメリカではファミリー層も動員できて予算少なくてもガッポリと稼げる定番ムービー。しかも主演はジム・キャリーを落とす勢いのアダム・サンドラーで最後に落ち着くところが見え見えだ。
そんな安易で展開が見えていてもサンドラーの悪ノリについ笑ってしまう。やっていることが大人なのに幼稚なのがミソで、オナラネタやらセックスネタやらその笑いの殆どが下ネタという低レベルの笑いの応酬。でもここで退いたり冷めたりできない魅力があるのはやっぱりこのお下品さを巧い具合にかき消すサンドラーのお茶目さだろう。サンドラーの役どころは怠惰な父親というところで『ビッグ・ダディ』の役をそのまま5、6年後にした感じ。いつまでたっても大人になれない大人に共感してつい妻の喧嘩を早送りしたり、喧嘩中に2画面中継でゴジラ松井のホームランを見たり、おっぱいが揺れる美女のジョギングをコマ送りにしたり、出世するまで早送りにしたり・・・・・夢の玩具を手に入れた大人が子どもになっておおはしゃぎする様は大人になってもはしゃげない抑圧された我々大人たちの夢の世界。
この夢の世界ではしゃぐサンドラーの欲望を自分に投影しちゃうと下らない下ネタでも笑いのツボに。もっと分かりやすく例えて言うならば『ドラえもん』を。のび太が未来の道具を手にしてはしゃぐ様って大人でも共感しちゃう、その感覚をもっと身近にして実写にしちゃったのが本作と思って欲しい。DVDのようにメニュー画面からダース・ベイダーのごとくコメンタリーにまでジェームズ・アール・ジョーンズを登場させてとなんと贅沢な!
だが、さすがにちょっとクドイ趣向もある。いくら万能リモコンが万能で使ったシーンをオートで送るとはいえ、ちょっと近未来映画化しすぎて似たような題材の『ブルース・オールマイティ』なんかよりも現実感に欠けてしまう。だからもうラストまでいかなくとも現実感溢れた本作のオチが夢であることは容易に想像がつく。
とはいえここまで未来化したおかげで【怠惰な】我々へ警笛を鳴らしてくれていると思えば一石二鳥。軽く普段食べているアイスもつもりつもれば…、家族と結ぶつきが少ないと知らぬ間に妻を取られたり・・・etc。
自分の気づかぬ間に、自分の無意識下が積もり積もって破滅へと繋がる。
こんな真面目なテーマを(ラスト付近はちょっとやりすぎ感は拭えないが)下ネタの下劣さで巧い具合に溶け込ませ、ラストクレジットで【フィルム】ではなく、【ムービー】と自分の名の下につけたコラチ監督。いつもながらエンターテイメントをよく分かってらっしゃる人だ。
【画像はアメリカ版ポスター】
カテゴリ:映画感想文
| ライアンを探せ! ≪ 06/11/29(水) 18:44 | ≫ エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? 06/11/29(水) 20:00 |